2020年10月から、TestDaFもデジタル形式を導入、日本では2021年11月東京ゲーテでようやく受験可能になりました。
以前も書きましたが、従来のペーパー形式とは異なる点がいくつかあり、それによって対策方法も変わってきます。それを、ペーパーの時と同じように、読解、聴解、作文、会話の順で僕なりに解説していきます。
この解説記事を書くにあたって参考にしたのは、
TestDaFのホームページと、
ドイツの教材出版社としてはHueber社同様におなじみ、Klett社が出版している、デジタル版TestDaF対策教材第一弾でもある“Mit Erfolg zum digitalen TestDaF”です。
今回は読解パートです。問題は全7問、すべてを約55分で回答します。
テスト全体の注意点
その前に、ここで改めてデジタル形式のTestDaF全体で気をつけるべき点を言っときます。
1.1問ごとに制限時間がある
2.一回進んだら後戻り不可
なので、時間配分の自由度がかなり減ります。一問一問、集中して回答しましょう。
幅広いテーマ
ペーパーテストと同様に、各問いの内容は、社会、環境、医学などのアカデミックな記事から抜粋されています。B2-C1レベルまで勉強して、なお知らない語彙は、文章のどこかにヒントがあるので、落ち着いてください。
デジタル形式の読解パートではペーパーに比べて問題が細分化されるので、その分数多くのテーマに触れることになります。
第1問 単語穴埋め
200語ぐらいの記事の中で、5か所が空欄になっています。それぞれに4つの選択肢があるので、一番適切な単語を選びましょう。
制限時間は4分しかなく、正直内容を吟味する時間はあまりないです。むしろ、各空欄の前後から候補を絞って回答できるはずなので、極論空欄が含まれる文章だけに注目するのもありです。
第2問 パラグラフ並べ替え
各30語ぐらいのパラグラフ5つを、全部で一つの文章になるように正しく並べ替えます。正答の鍵となるのは、一番目と最後のパラグラフをどれだけ早く見つけられるか。
のっけから定冠詞や代名詞、または因果関係を表す接続詞が出てきたら冒頭にはまる確率は低いですね。
逆に”Zusammengefasst”(要するに)とかまとめに入りそうな語句を見つけたら、最後になりそうな候補として注目しましょう。
制限時間は5分です。
第3問 長文読解
650語前後、6つのパラグラフから成る長文を読んで、各パラグラフの内容、そしてまとめに対する問い計7問に回答。小問ひとつに対して答えの選択肢は4つです。問題集や、TestDaF上の模擬テストを見る限りは、パラグラフの順番に従って問いが並んでいます。まとめの問いは最後になります。
今までの2問と比べると、制限時間は15分と大幅に増えますが、各パラグラフが平均100語以上という計算なので、実はのんびりはしていられません。
問題文を先に読んでから、長文の該当箇所を探す感じで解くことをお勧めします。
第4問 筆者の意図を汲み取る
250語前後の記事の中で4カ所、番号が振られている文章があります。
文の筆者が、それぞれどういう意図で文章を書いたのかを8つある選択肢から選んでいきます。例えば、何かを批判する、仮説を立てようとしている、警告しているなど、文の内容には深く触れていないけど、筆者が訴えたい「意志」が各選択肢に表れています。
抽象的な感じがして気持ち悪いですが、これは単語レベルで判断しやすいので語彙のトレーニングをしている人にとっては割と簡単です。逆に内容を理解しようとするのは効率的ではありません。
また、選択肢は4カ所すべてに対して8つだけなので、正答になる選択肢4つ以外はダミーです。
制限時間は6分ですが、それより早く終わることは十分にあり得ます。なので、あえて見直しで時間をいっぱい使うのも手です。
第5問 ケース選択
350語前後の記事の内容を汲み取り、後に続く表の中の問題文と照らし合わせます。
まず短文は、AとBが比較される内容となっており、それぞれの特徴、長所と短所が書き連ねられています。
続いて表の問題文は、基本的に記事に即した内容が7つ並んでいますが。よく読むとそうでもないパターンもあります。
もう一つ、この問題文は、記事の内容を順番に並べているわけではないということです。一番上の問題文の答えを記事の冒頭で探しても、なかなか見つからない可能性があるので注意しましょう。
この問いでは、表の中の文章が、Aのみに当てはまる、Bのみに当てはまる、どちらにも当てはまる、どちらにも当てはまらない、以上4パターンの中から選択します。
第4問と違い、内容重視の問いです。表の文章をよく読んでから、記事と比較しましょう。個別にメモ用紙が配られるなら、自分で簡単に表だけ作っておくのもいいと思います。制限時間は9分です。
第6問 正しい内容の文を選択
300語前後の記事のテーマに即して、与えられた表の中に適切な問題文を当てはめます。
問題文は8つありますが、表のカテゴリーは2つずつ、各カテゴリーには2つの問題文が入れられるようになっているので、8つのうち4つはダミーです。
制限時間が7分と意外と短いので少し悩みましたが、この問題では先に表と記事をささっと読んで、文脈を掴んでから解くのがいいのではないかと思います。やはり問題文の半分がダミーなので、それに惑わされてしまうとリズムが狂ってしまうのが怖いですね。
まず表には主題と、問題文を分けるべきカテゴリーが明記されています。それを理解してから記事で文脈を読み取り、問題文の取捨選択に取り掛かれると、スムーズなんじゃないかと思います。
第7問 要約の間違いを指摘
230語前後の記事と、その内容に即したグラフ、そしてそれらを誰かが要約した文章が並べられています。しかしその要約には最大3つ、記事とグラフの内容に合わない文章があるので、それをピックアップする必要があります。
要約文の中で、記事、グラフのどちらかの内容とはあっているけど、もう片方の内容とは矛盾しているものは間違いと見做されます。
ややこしいのは、記事、グラフのどちらかと合っていて、もう片方に触れていない、もしくはもう片方の内容と特に矛盾していない文章です。これらの文章は間違いではないので、選択してしまうと減点です。
この問いでは、グラフ→要約⇔記事の順番で読み進めていきましょう。とりあえず、グラフの内容と矛盾している要約文を速攻でピックアップできることが最重要です。グラフからは、数字化できる情報がちりばめられているので、要約の中でも数量に関する表現に注目していくと解きやすいです。
制限時間を意識する
デジタル形式のTestDaFは、テストの成り立ちから特に読解パートでは制限時間がネックになります。解き方もバリエーション豊かになるので、それに惑わされて慌てふためかないように落ち着いて臨みましょう。
ここまで読んでくださった皆さん、ありがとうございます!
別のブログも読んでいただけたらうれしいです。
んでは、また~。
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