ドイツで学生として滞在許可を申請するには、向こう1年間の生活費が十分にあるということを証明しなければなりません。
僕が学生だった頃は、ドイツに着いてから普通預金口座(Girokonto)を開設して、一定のお金を振り込んだら、その残額証明で事足りていました。確かその時はドイツ政府で定めていた月額の最低の生活費も650€ぐらいと今よりだいぶ安く、それが半年分とゆるゆるでした。
実際それより使うことってあんまなかったしなぁ。
やせいの Sperrkonto が あらわれた!
しかし、時は過ぎ2018年秋。政府は外国人正規学生に、向こう1年分の生活費を、滞在許可申請時に証明するようにと方針を変更しました。2023年1月から、その額は最低ひと月934€、1年分(12カ月)の生活費(=11,208€)となっています。
これなかなかにえぐいですよ。奨学金があるならまだしも、これを一気に証明しろとか鬼畜。
そして、銀行口座ももはやドイツに行ってからでは遅いのです。奨学金などが得られなかった場合、大学の入学証明書(Immatrikulationsbescheinigung)をもらったら日本にいてもSperrkonto(閉鎖口座)の開設に動き出しましょう。Sperrkontoは日本にはない口座のタイプで、そこにお金を振り込んでいる限り、ひと月で一定額が自分の自由に使えるように制限されます。
1カ月で使える額に上限がある
1年分の生活費(+開設手数料とデポジット)を一旦Sperrkontoに振り込むと、そこからは直接お金は引き出せません。ドイツに来てから普通預金口座(Girokonto)を開設し、そこの口座番号(IBAN)をSperrkontoの提供先に伝えて両方の口座を紐づけます。そしたら数日以内にSperrkontoが解放され、月一回上記のひと月の生活費が振り込まれます。
また、Sperrkontoはカリキュラムに関係なく1年ごとの契約で、延長する場合はその申請をすることになります。開設手数料とデポジットの配分は銀行によって異なり、それがそのまま2年目以降の更新料と同等か、安くなるかも別に見なくてはいけません。
前回はドイツのメガバンクで唯一Sperrkontoの開設が可能なドイツ銀行について解説しました。
今回は政府公認でSperrkontoを提供しているオンラインバンク、Fintiba、Coracle、Expatrioについて解説します。
必要書類が少なくなる?
ドイツ銀行でSperrkontoを開設するときは申請書を印刷して、パスポートやら入学証明書やら財源証明を在日ドイツ大使館/総領事館に持って行くところから始めなければなりません。オンライン銀行でもパスポートが必須なところは変わりませんが、それだけで口座開設まではできてしまうところもあります。そもそもオンライン申請なので、印刷する必要も、大使館などに持って行く必要もありません。
開設が早い!
ドイツ銀行のSperrkontoは開設までに4週間、下手するとそれ以上かかります。一方でこれらオンラインバンクは、正しい手続きを踏めば遅くても申請から24時間で開設できます。時間がどうしてもない場合は大助かりです。
自分の好きな銀行でGirokontoを持てる
オンラインでSperrkontoを開設してもそこから直接お金をおろせるわけではありません。つまりドイツに着いてから個別にGirokontoをどこかで開設する必要があるのです。逆に言うと、Girokontoは自分で選べるということ。メガバンクでもいいし、別のオンラインバンクでもいい。
Girokontoは基本的にパスポート、入学証明書、住民票があれば、日本国籍ならさらっと開設できます。オンラインバンクの場合はID認証をネットベースですることになるので、銀行に書類を持って行く、ということはないですが、書類をスキャンしてデジタル形式で持っておきましょう。
Sperrkontoを開設したオンラインバンクでは、お得用パッケージも販売しており、その中に提携先のGirokontoが含まれているパターンもあります。そのオプションも間違いではないです。
以上を踏まえた上で、各銀行でどのように必要書類や手続きが異なるのか見ていきましょう!
1.Fintiba
口座開設手続きはパスポートのみが必要で、オンラインで申請します。登録したら開設までに2~3時間で、これは次に紹介するどちらのオンラインバンクよりも早い=最速ということができます。
海外送金には1~2週間かかり、これは逆に下2軒よりだいぶ遅いです。
口座開設に89€、口座管理費は月4,90€かかります。延長する場合、初期費用と同じ手数料89€を最初に支払うことになります。
アプリで管理
FintibaはAndroid、IOSどちらもの端末で使えるアプリを開発しており、これでお金の管理が可能です。
健康保険と国際学生証もついてくるFintiba Plus
Fintibaでは、Sperrkontoに加えて旅行保険(無料)、のちに滞在許可申請に必要になる健康保険(別途月額払い)がひとつになったパッケージ、Fintiba Plusも販売しています。ここには以前紹介した国際学生証がなんとタダで3年分もついており、いろんなことを一気に済ませられます。よかったらこちらのリンクもご参照ください。
2.Coracle
口座開設手続きにはパスポート、入学証明書、顔写真(JPEG)が必要となり、他のオンラインバンクに比べてちょっと手間がかかります。オンラインで開設申請したら、登録したら開設までに最大24時間ですが、海外送金が5営業日以内で済むので、トータルで見たらFintibaよりも早く使えるようにはなります。
口座開設に99€、デポジットとして80€追加でかかります。延長するときは2年目からは60€/年の手数料を払うことになります。そしてなんと口座管理費はかかりません。他のどのSperrkontoより手数料が安くつきます。
開設手数料がもっと安く?Coracle PRIME
そんなCoracleですが、パッケージ商品Coracle PRIMEを選ぶと口座開設にかかる手数料が59€/年に引き下げられます。加えて料金は別ですが健康保険も一緒に手続きができてしまいます。最低限のアクションで滞在許可申請を済ませたい方にはちょうどいいのではないでしょうか。
3.expatrio
Coracleと準備段階は似ています。口座開設手続きに必要なのがパスポートだけなのはちょっと楽ですね。オンラインで情報を登録して、申請をしたら最大24時間で開設通知が来ます。
海外振込は通常5営業日以内、トラフィックが多いと7営業日かかるかもしれないとのことです。
初期費用として口座開設に49€、デポジットは100€です。口座管理費に5€/月払うことになりますが、管理費としてはまともな額です。延長するときは初期費用と同額の手数料を払うことになります。
Girokontoもついてくる Value Package
expatrioにもお得なパッケージがあります。その名もValue Package(直球)。他のオンラインバンクと同じように健康保険の手続きをこの時点で済ませられる、国際学生証がついてくると各ステップをスキップするのに便利です。さらに、こちらにはMoneseというオンラインバンクのGirokontoもパッケージについてきます。すべてドイツに着いてからですが、その恩恵は他のどこよりも充実していると言ってもいいと思います。
手続きらくちん
前回紹介したドイツ銀行と比べて、オンラインバンクのSperrkontoがどれだけ簡単に開設できるかお分かりいただけたでしょうか。結局ここにあるお金を直接手に付けられるわけではないし、どれもドイツ政府公認なので、これらオンラインバンクも選択肢としては大いにありです。
ここまで読んでくださった皆さん、ありがとうございます!
別のブログも読んでいただけたらうれしいです。
んでは、また~。
コメント
以前,必要書類についてご質問させて頂いた機械修士1回生のものです.
(H.N.なんにしたか忘れたので名前は違うかもしれません💦)
第一志望ではないですが,一応出願した2/3校から入学許可は下りたので,現在絶賛迷い中(行くか,第一志望のためにもう一年頑張るか,このまま日本で修士卒まで行くか)なのですが,とりあえず必要な手続きについて調べているので,相変わらずこちらにはお世話になりまくっています.
本当にここまで丁寧に系統化された情報はありがたすぎます…!!
もし行くことになったら(イヤ行かなくて日本ででも)機会があればお酒でもご飯でもおごらせて頂きたいくらいです…
取り急ぎほとばしる感謝の気持ちだけ書かせて頂きました.今後もお世話になります!!
sola様
本ブログを繰り返し読んでいただいているとのこと、
本当にありがとうございます。
もしかしたらこの人かな、という目星はついているのですが、
違ったら怖いのでここで例を挙げるのはやめておきます、ごめんなさい。
そして何より、大学合格おめでとうございます!
ただ第一志望には行きたいですよね。
僕も第一志望校からの返信が遅かったので、ちょうど今頃同じような悩みを抱えていました。
sola様が第一志望校に行けることを願いつつ、そうでなくてもこれからの進路で幸せになれるよう陰ながら応援しています。
また、うれしいお言葉もありがとうございます。
ドイツでお会いできればいいですね。そこでいろいろなお話が聞けたら記j…すみません、下心が出ました。
いつでもまたブログをのぞいてください。
できるだけアップデートした情報をお届けできるように頑張ります。
しめじ