住民票、銀行口座と、ドイツでの滞在許可申請に必要な要素を着々とクリアしている(はず)のドイツ大学入学を控える皆さん、最後の中ボスは健康保険(Krankenversicherung)です。
ドイツでは、外国人学生も政府が認可する健康保険に入っていなければ、病院には通えないし、もちろん薬を処方してもらうことはできません。ていうかそもそも滞在に必要な要件を満たしていないとみなされてしまいます。つまり加入は必須なのです。
2種類の健康保険、間違えないで!
ドイツの健康保険には、政府認可の健康保険(Gesetzlich versichert)とそうでない企業提供の健康保険(Privat versichert)の2種類が存在します。
滞在許可を申請するにあたり、どちらの保険の加入証明書を提出してもとりあえずは受理してもらえます。特に、学生でも30歳を超えてから初めてドイツの大学に入学をする場合は、企業提供の保険しか選択できません。ただし、企業の保険を選ぶ場合は以下の点に注意してください。
あとで政府認可の保険に切り替えられない
一度企業の保険に加入すると、政府認可の保険に改めて加入しなおすことができません。例えば、最初に企業の保険に安く入ったけど不満を感じ、政府認可の保険のほうがいいなと思っても、契約を締結をすることができないのです。
安すぎると必要なサービスが受けられない
企業の保険では加入時点でオプションを選ぶことになることが多いのですが、あまりに安いサービスを選ぶと、実は自分にとって必要だったサービスが適用範囲外だった、という可能性も捨てきれません。オプションを選ぶときには、それぞれにどんなサービスがついているのかもよく読んでからにしましょう。
政府認可の保険リスト
政府認可の健康保険はドイツ国内の病院に行って一般的な診察を受けられるように、最低限のサービスは基本セットとして組み込まれています。僕は、20代である限りはこちらを選ぶことをお勧めします。選んだ保険がこちらのリンクに掲示されているリストに載っているかどうか、確認してください(絞り込み検索も可)。
入ろうとしている健康保険の会社があればそのまま申請手続きに進みましょう。
どれがいいとかはあまり関係ありません。他の人に聞いてみた中でメジャーなのは、AOK、TK、DAK、IKKかな、といった印象です。ちなみに僕はTKを使っています。日本からの交換留学生はAOKの健康保険を契約しているのがメジャーな様子。もちろん正規留学生も加入できます。
リンク先のどこかの保険に加入していれば、とりあえずは大丈夫。
オンラインで申請
それぞれのホームページから、“Mitglied werden”というページを探して、質問に答えていきます。身分を“Studierende”、もしくは“Student/in”にするのを忘れずに。一通り書き終わったら、
・入学証明書(Immatrikulationsbescheinigung)、もしくは入学許可書(Zulassung)
・パスポート
もし要求されるなら
・住民票
をデジタル形式にするか、出来上がった申請書を印刷して、それぞれのコピーを郵送して提出しましょう。
【非推奨・裏技】ドイツの友達の住所を借りる
あくまで非正規ですが、もしドイツに友達がいる方は、ちょっと住所とIBANを手続きのためだけに貸してもらえないか聞いてみるのも手です。理論上こうすれば、ドイツに行く前に健康保険の契約ができて、現地でいろいろ動かずに済むことになります。これで手続きが済んだら、現地で変更届をすぐに出すようにしましょう。
※保険会社によっては使えない手なので、おすすめはできません。
1セメスター分の保険代を事前に入れておく
保険会社から加入通知と保険カードが届くと、最初に銀行口座(Girokonto)に入れておくべき保険代も知らされます。大体が入学するセメスター1期分の額を指定してきます。いきなりこの額がまるまる引き落とされるわけではなく、月額なのでご安心ください。SperrkontoがGirokontoに振り込んでくる月額の生活費で十分足りるはずです。
長く加入していると支払額が増える!
先ほどご紹介したリンクでは、大体月90~100€ぐらいの保険料でした。日本人からすると、これでもちょっと高いなぁって思う人も多いと思います。
これは初年度の料金で、年を追うごとに元の1~2%ほど高くなっていくシステムなのでそれに辟易する人がいてもおかしくないでしょう。残念ながら、これには基本的に逆らえず、おとなしく払うしかありません。でもね…、
【注意】30歳を超えると料金が倍に!
大学にいる期間中に30歳を超えてしまう皆さん、悲しいお知らせです。上記の料金は学生向けですが、20代までの特権なのです!30を超えると、それまでの倍ぐらい料金が高くなります。
僕がこれに関して通知を受け取ったとき、抗議も可という旨も書かれていて、ちょっとお金が苦しいのでなんとかならんかと問い合わせてみましたが、玉砕しました。チャンスがあれば理由を説明して抗議してみてもいいと思いますが、成功率は高くないでしょう。
開き直って病院行き倒して元取るしかないですね。
ちょっと脅しになりますが、さぼって留年を重ねてるうちに30歳を迎えてしまったら誰も責めちゃいけません。自分が何をしに来たのか、それまでにちゃんと気づくようにしましょうね。
Sperrkontoのパッケージに入っている
オンラインのSperrkontoを開設する際、お得用パッケージに提携先の健康保険加入手続きが入っているのは、前回のブログでご紹介しました。手続きをここで終わらせられるのはメリットですが、保険料だけ見たら単体で申し込むよりもちょっとだけ割高です。
もちろん、各パッケージで紹介されている健康保険は政府認可なので、滞在許可申請に有効です。手続きの簡略化を取るか、面倒だけど、料金を安く済ませるために自分で直接頼むかはよく考えてください。
あとは滞在許可申請にGO!
これで滞在許可申請のための書類は一通り揃ったはずです。健康保険の加入を証明するために、加入証明書(Bestätigung für die Versicherung)が必要です。
オンラインですぐ発行してもらえることがほとんどですが、不安なら保険カードを持って、街の保険会社の支店で発行してもらうこともできます。さあいざ外国人局へ。そこを越えれば、面倒なお役所手続きはひとまず終わりです!
ここまで読んでくださった皆さん、ありがとうございます!
別のブログも読んでいただけたらうれしいです。
んでは、また~。
コメント
いつも詳細な情報にお世話になっております.ありがとうございます.
保険について,
>皆さんが申請しないといけないのは、政府認可の健康保険
とのことですが,
いくつかのドイツ留学関連のサイトで,学生ビザが取れる個人保険が紹介されていますが,これらの個人保険ではダメなのでしょうか?
“gesetzliche Krankenkassen” (国民健康保険)と“private Krankenkassen”(個人保険)を調べると,EDUCARE24のような個人保険の方が安そうなので,問題ないのであれば個人保険の方に入りたいと考えているのですが
自分の調べ方が甘いのか,確実な情報が見つけられなかったため,ご助言頂ければ嬉しいです.どうぞ宜しくお願い致します
sola様
ご質問ありがとうございます。
ご指摘の点、改めて調べてみたのですが、個人保険に加入しても滞在許可を申請することは可能のようです。
間違った情報を提供する形になってしまい申し訳ありませんでした。
政府発信のサイトにもそのように載っていたので、個人保険でも問題ないようですね。
https://www.germany-visa.org/de/versicherung-deutschland/incoming-versicherung/krankenversicherung-studenten-deutschland/
https://www.internationale-studierende.de/gerade-angekommen/krankenversicherung
ただし、個人保険に入ると、二度と政府認可の保険に切り替えることはできません。
個人保険で十分なサービスが受けられるなら、特に問題はありません。その分高くつくと思われますが。
EDUCARE24のサービスも見たところそんなに問題はなさそうなのですが、
S、M、Lなどのオプションを選択するときに何にするのかをちゃんと選ばないと、有事に必要なサービスが受けられない可能性があります。
少なくとも事故の時の保証がなさそうなSはやめておいたほうがいいと思います。
この件は、改めて本ページでまとめたいと思います。
有益な情報をありがとうございます。
sola様のドイツ留学生活が有意義になるよう、陰ながら応援しています。
しめじ