もう2020年も終わりですね。日本では紅白歌合戦や、カウントダウンライブなどの年末特番を観ながら年の瀬を迎える方も多いでしょう。
こちらドイツでも、年末の定番となっているテレビ番組「Dinner for one」があります。ドイツでの初上映から60年近くも経つ今なお幅広い世代に愛され続けており、もはや伝統の一つと言ってもいいほど根付いています。
今回の記事はこちらを参考にしました。
筋書き
主人公のソフィー女史は、自身の90歳の誕生日を祝うために、仲のいい4人の知人を夕食に招待します。しかし、高齢な女史の知り合いということもあって、その4人は既に故人となっているのです。そのことを悟らせないために、女史の執事であるジェームスがその4人に成り代わってあたかも食事会が盛り上がっているように振舞います。
…というのがあらすじです。というわけで執事ジェームスはなかなか奮闘する羽目に遭うのですが、それを楽しむ18分のドタバタ劇となっています。多分あれがドイツの元祖ギャグ番組の一つです。
あと、余談ですがこのDinner for oneは女史の90歳の誕生日パーティという設定もあるので、別名「Der 90. Geburtstag(90歳の誕生日)」とも言います。
原作はイギリス
ドイツで有名な本作ですが、もともとは劇作家Lauri Wylieの脚本で1948年イギリスにて初舞台公演されたお話です。ソフィー女史(Miss Sophie 演: May Warden)、執事ジェームス(Butler James 演: Freddie Frinton)はともにイギリス人であり、現在ドイツ国内で流れているのも彼らがそのまま英語で演じているものです。
ドイツでは1961年にイギリスの舞台版が放映されるも、当時は大して話題にならずじまいでした。翌年西ドイツのエンターテイナー、Peter Frankenfeldが本場イギリスで、映画監督のHeinz Dunkhaseとともに同演目を観劇。西ドイツのお茶の間に届けるべく、同キャストを起用してテレビ収録バージョンの制作に取り掛かります。そして1963年3月にNDRにて放映、以降毎年大晦日に各テレビ局で放映されることになりました。
この作品にはパロディ、再録版、オマージュ様々ありますが、一番好まれているのはドイツで最初に収録したオリジナル(?)バージョンです。白黒の画面、音質も昔のままですが、それでもこれが一番好きだという人が圧倒的に多いのです。
複数の放送局で放映
Dinner for oneがいかに定番の番組であるかは、ドイツの主要テレビ局のラテ欄を見るとわかります。2020年の場合、NDRでは4回、Das ErsteとBRでは2回と複数回放映され、他局でも観ることができます。テレビさえあれば見逃す心配はありません。
方言版がある
先ほど派生版があると軽く紹介しましたが、そのうちの一つが方言版です。ヘッセン州、ケルン方言、北ドイツ方言など、様々な言葉に吹き替えられています。標準語ないんかと突っ込みたくなりますが、観る機会があるなら、時間帯を変えて観くらべてみてはいかがでしょうか。
ナンセンス劇がドイツにもあった
ご紹介したとおり、このお話はもともとはイギリス人による舞台演目から生まれています。ただ何より、ドイツ人がこういうユーモア作品を好んで観るんだ、という驚きが当時の僕にはありました。まぁ、年末にいやなことを吹き飛ばすように笑うのはいいことですよね。
ここまで読んでくださった皆さん、ありがとうございます!
別のブログも読んでいただけたらうれしいです。
んでは、また~。
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